結構聞かれる気がする・・・のとTwitterでも話題に上がること多いので。
「これからVJ用のPCを買いたいのですがMacとWindowsどっちがいいんですか?」の記事を書かせていただきます。
PC全体のお話については前の記事を参照してください。
結局、MacとWindowsどっちがいいんですか?
2022年現在ですが、前の記事からいくつか変わった点もあります。
・MacbookにはM1~M2チップが搭載されVDMX/Resolumeが対応を進めている、かつMacbookAirクラスでも割とVJに使えるものが出てきた
・サポートはしていないし独特のエラーがあるもののWindows11が出た
・Ryzenで廉価もしくは高性能なWindowsPCが出た
いろんな事情はありますが、とりあえずは私が出した結論は以下です。
VDMX(多機能VJソフト)が使いたい!
Motion・(Module8・CoGe)が使いたい!
小型の機種がいい!
買い替えのときに高く売りたい!→Macbook
NTFS/Everything(高速ファイル検索)が使いたい!
端子がほしい!
ソフト複数立ち上げたい!
AviUtlが使いたい!
部品換装したい!→Windowsゲーミングノート
よくMac=VDMX、Windows=Resolume or GrandVJとして語られるのですがResolumeとGrandVJはMacでも使えるのでこの語り方はやや違うところがあります。
VDMXはMacでしか使えないのでVDMX使いたい人はMac。それはそうです。
次が重要。
特にアニクラVJにおいて必須のソフトにEverythingがあります。
EveryThingについて
特にアニクラとかでは、HDDからファイル検索をしてVirtualDJに読み込む運用が多いのですが、このソフトはHDDを爆速で検索できる強みがあります。
打ち込めば2秒以下でHDD内をキーワード検索できるのがとても強いです。
MacのFinder(Windowsエクスプローラーに相当)が設定細かくできたり、EasyFindというソフトがあったり、有識者だとWindowsを部分的にエミュレートしてEverything使ってる人もいるんですが、いずれにせよWindowsでEverything使うよりは複雑で検索も一般には遅いです。
そもそもがこのEverything自体がハードディスクがNTFSでフォーマットされてることで最大のパフォーマンスを発揮できるようになっています。
このNTFSがWindows限定のフォーマットになるので、検索して出す、であればWindowsPC×NTFSでフォーマットしたHDD×EveryThingの組み合わせがかなり強みになります。
また、XMediaRecodeなどのエンコードソフトもWindows限定です。
(MacとWindows両方で使えるソフトもありますが・・・)
.mp4などの動画の作成エンコードに関してもWindowsでの体系が整っているきはします。
アニクラVJ(VirtualDJ利用)におけるMacbookの利点
じゃあVirtualDJを主に使うならWindowsのほうがいいの?ってことになりますが一応Macbookにも利点はあります。利点として思い浮かぶものは
・コントローラーにドライバがいらない
・Syphonが使える(Spoutよりも一般にトラブルが少ないとされている、RekordboxVideoやSeratoVideoが対応している)
・VirtualDJ/VDMXでソフトを指定したウィンドウキャプチャが可能
(ScreenGrabでの面倒な領域設定やOBS経由でのキャプチャをしなくてもよくお手軽)
・持ち運びが楽
・充電器がType-CでDJでMacのユーザーは多いので充電器の貸し借りが可能
・WindowsUpdateによるトラブルが少ない
・OS自体が優秀で高速
・Safariが使える
という点かと思います。VirtualDJ単品でソフトを指定してキャプチャする方法は雪女さんがまとめています。この記事にあるソフトごと指定はおそらくMacでしかできません。→最近のVirtualDJだとWindowsでも可能になったみたいです
なのでDJ用PCとポン出しVJ用PCでPCを共有する、荷物を増やしたくないのでPCを軽量にしたい、将来的にいろんなVJソフト試したいなどの運用を考えるとMacにもWindowsにない利点があるため、Mac×VirtualDJもありといえばありかと思います。
VDMXについて
VJソフトの紹介時にも触れたのですがVDMXについて軽く説明します。
VDMXはできることが非常に多くて優秀なソフトですがUIに癖が多くやりたいことに簡単にアクセスできるようにするためには結構大変な道のりがあります。
ようは複雑でそこがよくも悪くもある点です。
VDMXにできてResolumeにできないこと
・BPM検知
・ステップシーケンサー
・細かい音響反応(Resolumeにもあるが細かくは設定できない)
・一部のエフェクト
・ソフト単体でのスクリーンキャプチャ
・プレビュー等の自由な配置
・MediaBinで大量の素材が管理できる
・Control Surface(仮想MIDIコンみたいなのがソフト内で作れる)
などなど・・・
興味のある人は設定が保存できないだけなのでいじってみてください。たぶんいい意味ではカスタマイズし放題で電子工作みたいでたのしい!ですし、悪い意味ではなんもわからん感じです。人をものすごい選びます。
なのでMac×ResolumeのユーザーやレゾとVDMXを使い分けている人も割といるみたいです。
余談ですがVJソフトのなかでもMacbook限定のものはいろいろあります。
・CoGe
・Module8
・あのタグで待ってる
などなどはMacbookでないと動きません。(最近更新が控えめではあるのでM1に対応してるかは怪しいです)
なのでいろんなVJソフト試してみたいという理由でMacbook使うのもありではあると思います。
動画制作ソフトについて
Motion 5はモーショングラフィックス(動画)を作成できるMacbook専用のソフトです。
だいたい8000円くらいで買い切りであること、Tipsが(AfterEffectsほどではないが)充実していること、簡便に多種なエフェクトが使えるなどの強みがあります。
競合するソフトにAdobeAfterEffectsがあるにはあってこっちはWindowsでもMacでも使えるのですがいかんせん月額が高い・・・(月2700円で他のソフト使えるCompleteプランで月6480円とかです)買いきりじゃないです「月額」です。
となると素材を作りたいサイドな人で月額払うのはなぁ・・・って人でTipsが充実してたり書籍があるソフトの候補として Motion 5を使用したいとなればMacbookも選択肢に入ります。(もちろんこちらもソフトごとに癖はあるので注意です)
ちなみにWindowsだとAviutlというフリーソフトがあり、いろんな動画がこれで作られてます。モーショングラフィックスを本腰入れて作るのは工夫がいりますがやっている人もいます。
簡単なMVやMADならこちらもノウハウが充実してたり良質な作品を作成されてる方も多いので、選択肢に入ると思います。
ちなみにAfterEffectsを使って本格的に素材を作りたい!という方でもプラグインによってMacbook対応やWindows対応があったりするので注意が必要です。
つまり動画制作を行うにあたって
AfterEffectsが使いたい!→WinとMacどちらでもいいがプラグイン等に注意
Motion 5が使いたい!→Macbook
Aviutlが使いたい!→Windows
という感じになります。
もちろん動画制作を別のPCで行う方はVJ用のPCとしてこの項目はあまり重視しなくても大丈夫です
排熱とPCの大きさについて
Macbookは小型であるゆえに持ち運びがしやすい!アダプタもType-Cで完結するので人によっては小型リュックで事足りる人もいます。
がその反面排熱が難しく非常に熱がこもりやすいです。
ゲーミングノートはでかいけどこれはだいたい排熱用のファンのせいだったりします。
なので排熱性能に関しては一般にはゲーミングノートのほうがよく長時間の使用には強いとされています。
Macbookでもいいとは思いますがワンオペでVJたくさんやるタイプの人だとかなり苦戦を強いられるかもしれません。
ちなみにゲーミングノートはでかい!!!!から小型化のためMacbookで!重いの持ち運びたくない!!という人向けに小型のWindowsゲーミングノートもあるよという提案もしときます。
主にASUSとMSIあたりが精力的に小型化に励んでる印象です。
MacbookPro15inchがおおよそ2kg前後とのことなので、軽い機種は同じくらいの重さのクラスのもあります。
もちろんWindows機種も小型化するほど排熱が難しくなるのでそこは注意です
換装とメモリ・ストレージについて
昔のMacbookは部品換装ができたのですが今のM1以降の機種ではメモリの換装ができないのとメモリが16GB、ストレージが512GB以降になると一気に値段があがります。
M1のMacbookAirのメモリ8GBモデルでも複数レイヤー立ち上げて大丈夫という報告があったり、OS自体の軽さもありWindowsよりはメモリいらないとも言われてますが、VJやるにあたってメモリ8GBはちょっと不安になるスペックな気はします。
ソフト単体なら問題ないかもですが複数ソフトを複雑に立ち上げるとなると重くなるかも・・・?
なので複数ソフトを立ち上げて運用したい人は自身でメモリを換装できるWindowsのほうが有利かもしれません。
また、ストレージに関してですがWindowsのゲーミングノートはNVMeのSSDがもう一枚挿せる機種が多かったり、そもそもがOSの入ってるストレージを大容量に換装することが可能です。
だいたいのゲーミングノートは精密ドライバーがあればユーザー側で部品換装が簡単にできるので、換装性に関してはWindowsが一歩リードしています。
普段読み込み先がHDDだから本体容量そんなにいらないぜ!って人もいるかもしれませんが、特にループが短い汎用素材系だとSSDから読み込まないと動作が重くなる傾向があります。つまりVJによってはHDDとSSDを両方外付けで接続する運用を取らなくてはならなくなるので、その点も考慮して機種選定を行うといいと思います。
価格について
M1Macは円安の影響もありますが2022年10月現在で137000円程度です。
この価格と同価格帯のPCとなると2022年時点でこのあたりですね。
円安の影響はもちろんありますがWindows機種もゲーミングだと海外機種や海外の部品が多いため円安の影響をうけており現在はPCが高い状態です。
この数年ですがやはりMacbookにM1/M2が搭載された影響は大きく、ミドルクラスのMacbookでもVJソフトが動いてしまうくらいのスペックアップになりました。
なので価格を考慮するとMacbookのほうが少し高いがどちらでもいい、くらいになりました。(以前はVDMXが最低限動くPCは新品だと18万円クラスでした)
中古で引き取ってもらう場合はMacbookのほうが高く売れやすいので、買い替えの頻度が高いような人ならMacbookを選択するという考え方もありです。
ちなみにWindowsゲーミングノートはメルカリ等の個人通販を使うならまだしもその辺のPCショップだと数年後購入した価格の1/5で引き取ってもらえればかなりいいほうだと思ってください。
端子とマルチディスプレイについて
Macbook最大の弱点として端子が少ないことが挙げられます。13inchのAirおよびProでなんとType-C 2-3個だけです。
となるとMIDIコントローラーをたくさん接続するためにはハブが必要で、MIDIコンもHDD/SSDもある程度の電力を必要とするため、たくさん機器を接続するとなると電力の関係上不安定になる可能性があります。
また、M1Macは基本的には3枚以上のディスプレイに対応していません。
Display Link 対応USBドックを使えばいけますが別ソフトが必要だったりと面倒な点も多いです
VJの際はHDMI等でプロジェクターまたはVJミキサーに出力をするのでダブルディスプレイの状態になります。ようはここに1枚ディスプレイを足すことが基本的にはできません。
また、1VJソフトから2種類の画面を吐き出す際も少し苦戦を強いられることになるかと思います。
いずれにせよなんらかのType-Cハブを利用するので配線が複雑になったり、電力の取り合いによりMIDIコントローラーの接続が不安定になったりHDMIケーブルにうまく信号が飛ばないことも考えられます。
ハブも当たり外れがあり、過去の現場でType-C→HDMI出力を行った際映像が不安定になったこともあります・・・
ゲーミングノートの場合なんらかのディスプレイ等に接続することを想定しているので、ほとんどの機種にはデフォルトでHDMI端子があり、そこからの映像信号もハブ経由より安定しています。また、Type-CやminiDPなど別の端子もあり、2画面以上の投影も楽にできます。
また、USBへの給電も安定している印象です。ACアダプターがごつかったり消費電力が大きいことはありますが、その分、各端子からの出力は安定しています。
ということで端子だけでみればWindowsのほうが優秀なことは多いです(機種にもよります)
ただ、多くのUSB Type-C用の多機能ハブはMacbook想定で作られているのでWindowsとMacbookならMacbookのほうが相性がいいことは多いです。また、電源供給がType-Cでできる機種が多かったりそもそもがDJでMacbookを利用している人が多いので充電器の貸し借りができる点はMacbookのいいところかと思います。
バッテリー
バッテリーの容量そのものはWindowsのゲーミングノートのほうが多いのですが、消費電力もゲーミングノートのほうが大きいので、結果バッテリーはMacbookのほうが長く持つ傾向にあります。
WindowsPCでも数時間くらいは持ちますが、電源節約オプションを外してマシンの性能をフル活用するとなるとあまり持たないです。
まとめ
利点
・OSの挙動が軽くアップデートが不意に起こらない
・VDMX(/Module8/CoGe)を含むほぼすべてのVJソフトが使用可能
Module8とCoGeはM1以降の対応は不明
・Resolume・GrandVJも実は使える
・OBS Studio等を介さずソフトごとの画面キャプチャが可能
・Motion5が使用可能
・小型である
・DJでの利用者が多く充電器の貸し借りができる可能性が高い。充電器がゲーミングノートにくらべ小さい。
・売却するとき高値で買い取ってもらえる可能性が高い
欠点
・EverythingやXMediaRecodeなどVJソフト以外で使用できないソフトが一部ある
・ファイル形式としてNTFSが使えない(4GBを超えるデータの扱いに不利・Everything等によるファイル検索の高速化ができない)
・M1以降の機種はメモリやストレージの換装が難しく差額も大きい
・Type-C→USB/HDMIへの変換端子が必要で設営がむしろ複雑になったり電力供給が不安定になることがある
Windowsゲーミングノート
利点
・EveryThingが使える
・NTFSのファイル形式が使える
→組み合わせると高速なファイル検索が可能
・端子が多い(映像端子が2つ以上ある)
・USBからの電力供給が安定している
・排熱が優れている
・メモリやストレージを換装できる。メモリやストレージの大きいモデルの値段差がMacよりは小さい
欠点
・物理重量が大きい機種が多い
・WindowsUpdateが出番前に起きることがある
・VDMXやMotion5は使えない
・ACアダプターが大きく忘れたとき誰も頼れない
・消費電力が大きい
・MIDIコンのドライバ問題が起きやすいとされている
・VirtualDJではソフトごとの指定ができない
ということでWindowsとMacの利点を簡単にまとめてみました。
どちらでも運用は可能ですがその人のスタイルによって有利なPCがあるので、ぜひお気に入りの一台を見つけてみてください。